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初めて育児を体験するお母さんにとり、育児中にとっさに判断、対応しなければならないたくさんの問題にどう対処すればよいのか戸惑うことは少なくありません。
身近に相談したり頼る人がいない場合、次第に育児に不安を感じ、ストレスを抱えたりするようになります。
育児不安の解消には専門家の助けをかりなければいけない場合もありますが、大部分は育児に関する一般的な知識をしることで、大部分の不安や悩みは解消され、育児に自信を取り戻し子育てに専念できるようになります。 |
1.育児相談内容の確認
育児相談の内容は多岐であり、心の問題から身体発育、栄養の与え方まで発育段階に応じて幅広い相談があります。 |
2.乳幼児健診時に多く認める相談内容
乳幼児健診の際、育児中のお母さん方がどのような事柄に不安や疑問を持ち育児相談をするのかアンケート調査を行った結果が報告されています。
赤ちゃんの成長発達段階に応じてその内容が変わってきます。 |
(1) |
1ヶ月児健診 |
・夜は数時間おきに赤ちゃんが起きて眠れない
・皮膚に発疹がでる
・黄疸が1ヶ月たっても消えない
・同じ方向を向くので頭がいびつになった
・目やにが出る
・頑固な便秘が治らない |
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(2) |
3〜4ヶ月児健診 |
・指しゃぶりがひどい
・よだれが多い
・湿疹が出来やすい
・頭が変形している
・便秘し易い
・寝つきが悪い
・あざが消えるかどうか心配
・身体をそらすのでだきにくい、よくかぜをひく
・体重のふえかたが悪い
・お腹が空いても泣かずにおとなしい |
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(3) |
6〜7ヶ月児健診 |
・よだれが多い
・湿疹が出来やすい
・良く風邪をひく
・指しゃぶりがひどい
・頭が変形している
・寝付きが悪い
・のどがゼイゼイする
・体重のふえかたが悪い
・他の子どもに比べ遅い気がする
・特に悪いところはないが何となく心配 |
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(4) |
10〜11ヶ月児健診 |
・一時も眼が離せないくらいよく動き回る
・かんがつよい
・体重のふえかたが悪い
・指しゃぶりがひどい
・人見知りがひどい
・のどがゼイゼイする |
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(5) |
1歳6ヶ月児健診 |
・一時も眼が離せないほど動き回る
・良く風邪をひく
・湿疹が出来やすい
・かんが強い
・体重のふえかたが悪い
・よだれが多い
・指しゃぶりがひどい |
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(6) |
3歳児健診 |
・少食や偏食
・咬まない・飲み込めない
・言葉の発達が遅い
・どもる
・排尿が何時も失敗・夜尿がある
・便の失禁がある
・落ち着きがない
・友達と遊べない
・恐がり屋だ
・よくかぜをひきやすい
・体重の増えかたが悪い
・湿疹が出来やすい
・怒りっぽくすぐものを投げつける
・友達をたたいたり乱暴をする
・友達にかみつく
・指しゃぶりがなおらない
・性器いじりがひどい
・敏感過ぎる
・ころびやすい
・恐ろしく強情である |
以上のような相談事項から読みとれるのは、生後半年位までの育児については、母乳不足や体重増加不良、眠らない、便が出ない、首の座りが遅いなど、赤ちゃんのからだの成育に関する相談が多いのに対し、それ以降は、赤ちゃんの精神運動発達、情緒や社会性の発達に関する相談が多くなっています。
初めて子育てをする母親にとって、赤ちゃんがどのように発達するのかということは多くの育児書に解説されていますが、実際に育児を体験しなければイメージが湧かないのは当然のここと思われます。
そのことは第一子を育てるお母さんに育児不安の傾向が強いということからもうなずけます。
育児不安は、育児体験のない母親が孤立した状態で育児を余儀なくされ、「自分の子育てはこれでよいのか」と戸惑っていることに起因していると思われます。
この戸惑いを解消するには、育児体験者や小児科医や看護師などから「あなたの育児は間違っていない」という一言を言ってあげるだけで育児不安はかなり解消されると思われます。
育児相談外来は、そのような不安を払拭し自分の育児に自信を持つきっかけにする場であります。 |
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3. 乳幼児の身体発育(体重・身長・頭囲)について
国は平成12年日本人乳幼児の身体発育値を求めるため乳幼児身体発育調査を実施し乳幼児の身体発育値を発表したデータが標準値として使用されています。
母子手帳には、月齢や年齢毎の体重、身長、頭囲などの標準成長曲線がグラフで示されています |
(1) |
体重 |
@ 出生後の体重増加
体重は骨格や筋肉、脂肪組織や内臓器官や血液など身体を構成する重要部分の発育や栄養状態、健康状態を評価するバロメターになります。
生後0〜5日間には、出生児体重の約5〜6%が生理的に減少しますが、普通は生後7〜9日くらいで、基の体重にもどります(生理的体重減少)。
その後体重は、最初の5ヶ月間は1日平均20〜35g、生後6ヶ月以降は1日15〜20g程度増加します。
生後3〜4ヶ月で出生時の2倍になり、満1歳で3倍、2歳で4倍、4歳で5倍になります。
発育状態をみる場合、乳児期は月に1回、1歳時は年4回、2歳以降は年2回程度、体重測定を行う必要があります。
A 体重増加曲線
大部分の赤ちゃんは、正常成長曲線に沿って体重が増えていきますが、生まれつき小柄な体格と大柄な体格の子どもがいます。
小柄な体格の子どもは、生まれたときの体重は正常ですが、体重増加の曲線が正常曲線の下限或いはそれ以下で増えていきます。
B 小柄な子、大柄な子
検査を受けても特別異常がなく、体格が小柄なのは体質的・遺伝的な要因によるものではないかと考えられています。
このようなお子さんの場合には、お乳が不足しているのではないかということで、母乳の他にミルクを補充して体重を増やそうと試みますが、通常はあまり効果がありません。
小柄ながらも年齢とともに体重や身長はきちんと増えていきます。
逆に体格の大柄な子どもの体重や身長を正常成長曲線上にプロットすると、両者とも標準値より大きく、成長曲線にそって上昇することがわかります。
このような子どもは肥満症とは考えず、体格の大柄な子どもとして考え無用なダイエットなどは行わないことが大切です。 |
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(2) |
身長 |
@ 出生後の身長増加
身長は、長管骨と背骨の骨(椎体)の長さを反映しています。2歳未満の時は仰臥位で測定し、2歳以上の場合は立位で身長測定します。
満1歳で出生時の約1.5倍になり、満4歳で約2倍になります。
A 身長増加曲線の使用法
・低身長の治療開始年齢が早くなったため、早期から身長増加曲線の経過観察を行うことが必要になってきました。
・身長の測定値が、90パーセンタイルと10パーセンタイルの間に入っている場合には正常と判定しますが、90〜97パーセンタイルと3〜10パーセンタイルの間は、他に明らかな異常がない限り経過観察とします。
・しかし97パーセンタイル曲線以上と3パーセンタイル曲線以下の場合には異常の確率が高いため、精密検査を受けるよう勧められています。
・正常上限を超えて背が高い場合は、両親の背も高く体質的な場合もありますが、内分泌疾患などの可能性もあるため、身体の増加速度や二次性徴のあらわれ方などを参考に経過をみていく必要があります。
・正常の下限を超えて背が低い場合、体質的な場合もありますが、内分泌疾患、染色体疾患、栄養不足、腎臓疾患、愛情遮断症候群などの精神的情緒的問題などの可能性があるため専門医療機関で原因精査を受ける必要があります。 |
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(3) |
頭囲 |
・脳をつつみこむ頭蓋の発達を知るための計測値であり、出生直後は分娩に伴う頭蓋の変形で正確な計測が難しいけれども、その後は比較的簡単に計測できるようになります。
・頭囲は個人差が少なく僅かな偏りでも精査が必要であり、特に乳児期初期には脳や頭蓋の発達障害を反映するため重要な計測値になります。
・子どもは年齢が小さいほど総体的に頭部が大きく四肢が短い体型をしています。出生時は、頭囲が胸囲より大きいですが、生後6ヶ月〜1年すると両者はほぼ均等になり、2年以降では次第に胸囲の方が大きくなります。 |
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(4) |
カウプ指数と肥満度 |
体型の評価には体重と身長を組み合わせた指標が用いられ、カウプ指数(BMI)は月齢や年齢に左右されず、肥満ややせの状態の判断に利用できます。
体重(kg)
カウプ指数= −−−−−−−−−− × 104
身長(cm)2
3%タイル以下を「やせ」、97%タイル以上を「肥満」と判断します。
肥満度は、体重が標準体重からどの程度かけ離れているかを%表示した指標です。
実測体重(kg) − 標準体重(kg)
肥満度(%) = −−−−−−−−−−−−−−−−−−− × 100
標準体重(kg)
肥満度:
・ +30%以上(太りすぎ)
・ +20〜30%(やや太りすぎ)
・ +15〜20%(太り気味)
・ -15〜+15%(普通)
・ -15〜-20%(痩せ)
・ -20%以下(やせすぎ) |
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4.乳幼児の成長発達の特徴
子どもの特性は成長と発達することです。プログラムされた遺伝情報に基づいて胎生期から思春期まで、順を追って様々な機能が獲得されていきます。
成長は体重や身長などの身体的発育であり、発達は運動機能や精神機能等の行動発達を意味しています。
人の生命維持に係わる生理感覚機能には7種類(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、痛覚、温覚、触覚)があり、これらの感覚機能は胎児の頃から発達します。
赤ちゃんは、胎内生活から胎外生活へ環境を変え、外界から様々な刺激を受け感覚機能や運動機能、精神機能を発達させ機能を高めていきます。
生まれてから小学校へ入学するまでの乳幼児期の成長発達の特徴を大まかに下記に示します。 |
(1) |
出生後から生後4ヶ月 |
目を覚まして機嫌のよい赤ちゃんは、うつ伏せ遊びが好きで、母親が一緒に腹ばいになって手をつないで声がけをして遊んであげると、赤ちゃんは嬉しそうにあそびます。
また床をぺろぺろなめたり、ものを手で掴み、口に入れようとします。 |
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(2) |
生後4〜10ヶ月 |
赤ちゃんの首がすわり、支えると坐ることが出来るようになり、横になった状態では仰向けだけではなく、左右に自在に寝返りができるようになり、更に「はいはい」をして行動範囲を広げるようになります。
周囲に好奇心を持ち探索活動が盛んになり、手で物を掴む機能が発達してきます。
ガラガラなどの音のするおもちゃが大好きで握って振って音を楽しんだり、握った物を投げたり落としたりして楽しむようになります。
おもちゃや大切な物も壊したりする場合もあります。 |
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(3) |
生後10〜18ヶ月 |
這って移動する状態から、つかまり立ち、伝い歩き、ひとり歩き、走るという四肢の粗大運動機能を進化させる時期です。
片言の言葉を話すようになり、いたずらが増え、母親は「だめ・だめ、いけない・いけない」としかることが多くなります。
母親から次第に自立しようという気持ちを持つようになりますが、一方まだ不安があるため母親のもとへ帰りたいという気持ちも交互に交差する時期でもあります。
好き・嫌いの感情を次第にはっきりと表現するようになってきます。 |
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(4) |
生後18〜36ヶ月 |
中脳支配の乳児期から大脳皮質支配の幼児期へと変化が始まり、走ったり、跳躍したり運動機能はより高度に発達します。
また情緒の発達、感情表現、言葉を話す機能も発達し2〜3語文を話すようになります。
また排尿・排便感覚が判断可能になるため、親に知らせることができるようになります。
また自我意識が芽生え自分の意志をおもてに出すようになるため、反抗的になってきます(反抗期)。
親に反抗する子は自己主張の出来る健全な心を持った子どもであり、逆に親の言うことをよく聞き、手のかからない子は心の抑圧された子どもといえるかもしれません。 |
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(5) |
生後36ヶ月以降 |
10歳で羞恥心が成熟し大人の仲間入りをします。
それまではお母さんに甘え一緒に寝たいと親を心配させることもありますが、十分甘えることの出来た心は健康的な思春期を向かえるようになります。
そして思春期の様々な体験や勉学・思考・社会活動を積み重ねることにより成人期への基盤を作り、その人の人生を形作ることになります。
しかし全ての子育てが理想的に進行するわけではなく、様々な要因により成長発達の過程が阻害され、子どもの心身の発達に歪みをもたらし、心の問題として顕在化することもあります。 |
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●運動発達、精神発達について、別ウインドウで見る→
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5.育児不安についての対応
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●別ウインドウで対応の年齢をご覧ください→
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6.乳幼児栄養・食生活(母乳栄養と人工栄養、離乳食)
乳幼児の心身の成長発達を図るには、それを支える栄養が確保される必要がある。乳幼児の栄養法を考えるとき、成長発達に伴い乳児期前半は乳汁(母乳、人工乳)、乳児期後半には離乳食へと進み、1歳半頃から幼児食へ移行する。
乳幼児の成長を支える必要栄養素は、0歳〜2歳未満では120kcal/kg、タンパク質が3.0g/kg、脂肪は必要エネルギーの45%です。
2歳〜6歳未満の必要エネルギーは110kcal/kg、タンパク質が2.4g/kgであります。
6歳以上ではエネルギーは100kcal/kgでタンパク質は2.8g/kgになっています。
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6-1 母乳保育 |
(1) |
初乳と母乳栄養 |
@乳児と母親にとって最も望ましい栄養法である。母乳は栄養学的にも免疫学的にも優れており、また母子間のスキンシップを図る上からも母乳保育を行うのが最も望ましいと考えられています。
A出産後3〜4日頃までに分泌される母乳を初乳といい、それ以降の母乳(成乳)に比較しタンパク質や無機質、分泌型IgA免疫グロブリンを多く含み、新生児を感染症から守ってくれます。成乳100mlには67kcalのエネルギーと1.1gのタンパク質、3.6gの脂質、7.4gの糖質が含まれています。 |
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(2) |
母乳保育の方法 |
@ 授乳回数や間隔にこだわらず、赤ちゃんが飲みたいときに与える自律哺乳が基本になります。
新生児期の授乳回数や間隔は一般的に不規則ですが、生後1ヶ月位から母乳の分泌も安定してきます。
A赤ちゃんは最初うまく乳首に吸いつけないことがありますが、徐々に吸いつくことが出来るようになり、頬の筋肉の発達も促進されます。
出産後2日目位から乳房が張るようになり、赤ちゃんが乳首を吸うことで乳首に刺激が与えられ、生後3〜4日目位から乳腺が発達し母乳が貯まってきます。
母親の身体は妊娠中から授乳にそなえ準備が整えられてきますが、赤ちゃんが乳首を吸うことで刺激が脳下垂体に伝達され、プロラクチンとオキシトシンが分泌され、更に母乳分泌を高め、子宮筋肉を収縮させます。
B母乳には様々の免疫物質が含まれており感染防護作用があるため、人工保育に比較し母乳保育児の死亡率や疾病罹患率は低くなります。
また授乳時の細菌感染やアレルギーを起こす心配もないことが母乳保育の長所になっています。
C 0ヶ月〜1ヶ月位の新生児は、大凡20分くらいお乳を飲み、満腹になるとすぐ眠り、2〜3時間してお腹が空いて、また泣き出し、また授乳というパターンを繰り返します。
D母乳の出方が少ない時や、赤ちゃんの飲む力が弱く、1回に飲む量が少ない場合には30分以上たっても乳首を離さないことがあり、眠りも浅く、直ぐお腹を空かせて泣き出したりします。
E母乳を飲ませるときは、右側から飲ませた場合は、右側が空になったら左側のお乳を飲ませる。
お乳を飲ませる場合、母親がテレビを見ながら与えることは、赤ちゃんも気持ちが落ち着かず散漫になるのでテレビは消し、赤ちゃんの目を見ながら、易しく話しかけながら飲ませてみましょう。
これは母乳を与えるときだけでなく、ほ乳瓶でミルクを与えるときでも同じです。
F赤ちゃんが満腹の様子を見せたら直ぐにベットに寝かせないで、1回抱き上げて首を母親の肩の上に赤ちゃんのお腹を軽く乗せるようにして背中を軽く叩いてあげると飲んだ空気を排気しやすくなります。
ゲップを出さないで寝かせると、空気と一緒にお乳をはき出してしまいます。
G母乳をよく出すためには、母親がバランスの取れた食生活をすることが大切で、授乳中は、エネルギー源になる炭水化物や脂肪、タンパク質、ミネラル、ビタミン類をバランスよく取る必要があります。食欲を減退させるタバコは中止することが望ましいです。
H母乳は1日に300〜1000ml位分泌されるので、母親も牛乳やみそ汁スープなどで十分水分を取る必要があります。
母親が自分の食欲をよくするにはよく眠ることも必要で、よく食べリラックスした生活を心がけるのが、母乳をよく出すこつになります。 |
6-2 人工保育 |
@母乳栄養が不可能な場合には、ミルクによる人工保育を行います。
現在の市販ミルクは、母乳とほぼ同じ成分に調整されており、消化吸収の面では母乳と大差ありません。
人工乳は牛乳から作っていますが、牛乳は母乳よりタンパク質含量が多いのでミルクを作る際そのタンパク含量を母乳レベルに減らし、乳清タンパク質を添加しています。
またα-ラクトアルブミン、タウリン、シスチンやアルギニン等の必須アミノ酸を母乳と同じ濃度に添加しています。
A最近はミルクも改良され母乳保育であっても、人工栄養であっても赤ちゃんの発育に大きな差はなくなっています。
それでも母乳は赤ちゃんにとってよいことには変わりはありません(免疫物質を含んでいるため)。
B人工栄養で赤ちゃんを育てる場合、母親は飲み終わったあと、すぐほ乳ビンをおいて授乳をやめてしまうのではなく、母親の乳房を含ませたりして、しばらくの間抱き母乳を与えるときと同じ気持ちで赤ちゃんの顔や目を見ながら話しかけるのが良いと思います。 |
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6-3 混合栄養 |
@母乳が不足している場合にはミルクで不足分を補充できます。生後1ヶ月経 過しても授乳に30分以上かかり、且つ体重も増えなく他に原因がなければ、明
らかにかに母乳不足の可能性があります。
お腹が空いて夜中に何度も泣かれる
とお母さんも疲れ果ててしまいます。
無理に頑張らずミルクを使用し不足する
母乳を補うのが混合栄養の目的です。
A混合栄養のやり方には、授乳毎に乳房を含ませ、その後にミルクを補う方法と1回おきに母乳とミルクを交互に飲ませる方法、朝と夜に母乳を飲ませ日中はミルクにするパターンなどがあります。
乳房を空にする点からは最初のパターンがよいでしょうが、お母さんが仕事をしている場合には、朝晩の授乳が都合がよいかもしれません。 |
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6-4 離乳食の進め方 |
@生後5〜6ヶ月位になると、赤ちゃんの哺乳量も増え身体も大きく成長し、母乳やミルクだけでは十分な栄養素を補えなくなります。大人と同じような食事を取るための準備期間の食事が離乳食であるといえます。
A本格的な離乳食は生後5ヶ月位から始め1歳頃までの間に、赤ちゃんの食欲や咬む力・消化能力に応じて進めていきます。普通離乳食を開始する5ヶ月頃は、1日3?4時間おきに哺乳させますが、それだけでは赤ちゃんが必要とする栄養素を十分まかなうことが出来なくなります。
母乳保育だけの赤ちゃんは生後6ヶ月頃から鉄やビタミンが不足するので、その不足を補うためにも離乳食を始める必要があります。 |
(1) |
離乳準備期(生後3〜4ヶ月頃から) |
@本格的な離乳食を始める前の準備の離乳食で、母乳やミルク以外の味を憶えるため赤ちゃんが喜ぶ果汁を与えます。
果汁は季節の新鮮な果物を搾り、ゆざましで2?3倍に薄めて与えます。酸味が強いからといって砂糖を加える必要はありません。
リンゴは便を硬くする作用がありミカンなどの柑橘類は便を軟らかくする効果があります。果汁になれたら、野菜や鶏がらから作ったスープや昆布や鰹から取った和風のだしなどから作ったみそ汁を3倍に薄めて与えてみましょう。
A次はスプーンで食べるのに慣れる練習を始めます。
最初はお粥や柔らかい穀類を、1日目は1さじから始め、次の日は2さじ、3日目は3さじ、と徐々に増やしていきます。
1週間はこのペースで増やし、あとは赤ちゃんの好きなだけ母乳あるいはミルクを飲ませましょう。 |
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(2) |
初期離乳食(生後5ヶ月頃から) |
@まずはとろとろ状態の食べ物から始め、飲みこむ練習をさせます。赤ちゃんのペースに合わせてゆっくり始め、1日1さじずつ増やしましょう。
初期離乳食開始の目安は生後5ヶ月で体重が7kgになりますが、赤ちゃんの能力によって異なるので、飲み込む能力を見極めながら進めることが大切です。
すなわち親が食事をしている時にじっと見つめ食べたそうな様子を見せたり、赤ちゃんのよだれの量が多くなったり、果汁やスープをスプーンで上手に飲めるようになった時期が、離乳開開始の一つの目安になります。
最初は朝6時頃に母乳やミルクを飲み、4時間程度経過した午前10時頃、ニンジン入りパン粥と母乳またはミルクをほしがるだけ与えましょう。
離乳食は最初の日は1種類の食品を1さじ与え、2?3日続けて異常がなければ、次は2さじ、更に3さじと、1日ごとに1さじずつ増やしましょう。
1週間位は赤ちゃんの便の状態をチェックしながら慎重に進めましょう。最初は、赤ちゃんの食欲が旺盛で、沢山ほしがっても3〜4さじ程度で止めておきましょう。
1つの食品を3さじ食べれるようになったら、別の食品を加えて種類を増やしていきましょう。
Cとろとろの物は、おかゆの場合が多いのですが、おかゆの他にマッシュポテトや煮た野菜のすりつぶしたもの、パン粥、フレーク粥などでもかまいません。野菜は形がなくなるまで煮てすりつぶし裏ごしして、煮汁やスープで希釈し与えましょう。
ヨーグルトやポタージュの柔らかさも経験させ憶えさせるのがよいでしょう。
D離乳食の味付けはごく薄味が基本で、大人が食べて美味しいという塩加減の1/3〜1/4がよいでしょう。
味付けをしないで野菜や魚などの素材の味だけで調理しても赤ちゃんは十分喜んで食べます。赤ちゃん時代から薄味を好む習慣をつけると、大人になっても薄味を好み成人病の予防になります。
はじめは単品で自然の食材の味を覚えさせるのがよく、簡単だからといって最初から材料を混ぜこぜにしたお粥ばかり与えていては、赤ちゃんの味覚や食感は豊かになりません。
E与える食品の順番は特に決まっていませんが、最初は穀類、次に野菜類、その次にタンパク質という具合に食べさせてみましょう。
タンパク質とりわけタマゴ、牛乳、大豆製品はアレルギーの原因になることがあるので、家族にアレルギーの人がいない場合、少しずつ試してみましょう。
何度か与える度に湿疹や蕁麻疹などの症状があらわれる場合には医師に相談しましょう。
離乳食を食べる量はそれほど多くはないので、食後のミルクや母乳はたっぷり飲ませ、赤ちゃんへ話しかけながら食べさせると、赤ちゃんも食事をする雰囲気が大好きになり、食事の時間を喜ぶようになります。
F食材は、穀類や芋類、ご飯は10倍粥を更にすりつぶしてジャム状にし、パンはパンかゆ、ジャガイモはマッシュしてスープやゆざましで薄めましょう。
野菜、果物、ほうれん草、白菜、カボチャブロッコリー、カリフラワー、ピーマン、もやし、長ネギ、キャベツ、タマネギ、空豆、大根、ニンジン、かぶなどは軟らかく煮てすりつぶします。
トマトは皮をむいてすりつぶし、きゅり、りんご、桃、なしなどの野菜や果物はすりおろして与えます。
ミカンやオレンジは果汁にしたり又はつぶしたり、ほぐしたりして与えます。
タンパク質はタマゴを硬くなるまで十分ゆで、卵黄だけをゆざましやスープで薄めて与えます。
豆腐はすりつぶし、牛乳は温めて料理に使ってみましょう。
つぶした穀類やつぶし粥は、小さじ1〜6さじ、野菜は小さじ1〜2さじ、魚の煮汁小さじ1/2さじ、ニワトリのささみ肉のスープ小さじ10杯、スリ豆腐小さじ1〜2さじ程度が1回の食事の適量となります。 |
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(3) |
中期離乳食(6〜8ヶ月) |
@1回食を午前中に与えていた場合は、2回目は午後の2時頃、または午後6時頃に与えます。
プリン状のものやつぶつぶ状のものを口の中でもぐもぐ、舌でぺちゃぺちゃ食べる楽しさを教えます。飲み込むことを憶えたら、バランスのよい栄養を考えて食事内容を工夫しましょう。
A離乳食を始めて1ヶ月位すると赤ちゃんはゴクンと飲み込むコツを覚えます。
とろとろ状の野菜や魚を上手に食べるようになり、1回食が順調に進むようになったら2回食に進みましょう。
離乳食を午前中に与えていた場合は、2回目は午後の授乳タイムに与えます。
2回目の時も1回目と同じように少ない量で始め徐々に増やしていきましょう。
B食事が2回食になっても離乳食と母乳あるいはミルクはワンセットという考え方は変わりません。
食後のお乳は赤ちゃんがほしがるだけ与えてよいです。
食事内容も初期のとろとろ状からつぶつぶ状へ変えていきます。
中期でも前半はとろとろ状から少し水分を減らしべたべたのジャム状にし、後半は更に硬くして口の中でもぐもぐ動かしたり舌でぺちゃぺちゃつぶせばつぶれるプリン状や、つぶつぶ状の物を食べるように練習します。
おかゆなら10倍粥から7倍粥へ、野菜なら柔らかく煮たものを包丁で細かく叩いてスプーンの背でつぶし大きさを調節します。片栗粉やコーンスターチでとろみをつけると食べやすくなります。
C栄養の主体は未だ母乳やミルクですが、食事からの栄養補給も重要になります。
発育盛りの赤ちゃんには、エネルギー源となる米、パン、穀類(ジャガイモ、サツマイモ)、タンパク質のタマゴ、魚、肉、豆類、ビタミン、ミネラル源になる野菜や果物、海草類が必要になります。
D1回の食事に各栄養素の中の1〜2種類の食品が必ず含まれるように献立を工夫しましょう。
味付けは初期と同じように自然の味を活かした薄味にするのがよく、野菜はだし汁夜スープで煮ただけでも赤ちゃんの好みの味になり、魚もそれ自体の塩分で赤ちゃんには十分美味しく感じられます。
中期離乳食からはごく少量ながら塩、醤油、みそ、さとう、ケチャップマヨネーズ、酢などの調味料を使い初めてかまいません。
面倒がらずに季節の新鮮な食材をいかした食事を、お母さんが手作りで作り
食べさせてあげるようにしましょう。便利で手軽なベビーフードが沢山でまわっていますが、母親の手作り離乳食が赤ちゃんに取って一番のご馳走です。
F赤ちゃんが病気の時の離乳食は、赤ちゃんの食欲が十分あれば何時も通でかまいませんが、もし食欲が落ちたりしているようであれば、水分を十分補給し、何時もより柔らかく、のど越しがよいように調整してあげるのがよいと思います。
G1回の食事の量の目安
穀類:パン粥またはつぶし粥は小さじ6〜8杯、お粥類は子供用茶碗半分くらい
野菜類:煮つぶし小さじ5〜6さじ、みじん切り小さじ6〜7さじ
タマゴ:固ゆで卵黄半分、卵黄1個、または全卵半分
魚類:煮魚すりつぶし小さじ2〜3さじ
肉類:ささみそぼろ小さじ2〜3さじ、レバーペースト小さじ2〜3さじ
大豆:湯豆腐を小さじ2〜3さじ、後半小さじ6さじ
油脂類:バター最初は小さじ1/3、後半には小さじ1/2さじ |
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(4) |
後期離乳食(生後9〜11ヶ月) |
@大人と同じ食事時間となります。2回食を食べるようになると、赤ちゃんは1回に子ども茶碗でお粥を8分目、おかずを1皿位食べることが出来るようになります。
ある程度形のある物を、もぐもぐ口を動かし飲み込んでいるようでしたら3回食へ進めることができます。9〜10ヶ月には上下2本の前歯がそろいますので、とろとろ・べたべたの食べ物では物足りなくなってきます。
A後期離乳食は前歯で咬む訓練を行う目的があり、前歯でつぶせる位の硬さに硬さを調整する必要性があります。
切り方はみじん切りから粗みじん切り、ご飯は軟らかいご飯かトースト、果物は薄ぎり、魚なら粗ほぐしが食べられるように練習させます。
母乳やミルクは朝6時と夜10時の2回と、離乳食後の母乳またはミルクは200mlしますが、食後の母乳やミルクの飲む量は以前より少なくなります。
生後10ヶ月位になると大人と同じ食事を摂ることが出来るようになりますので、朝は授乳をしなくてもよくなります。
B3回の食事をしっかりとっていると母乳やミルクをほしがらなくなってきます。
母乳をまだ与えている場合は、牛乳などに切り替えていくのがよく、誕生を過ぎる頃になればおっぱいへの愛着が少しずつ薄れていくので断乳がし易くなります。
Cこの頃になると赤ちゃんは自分でスプーンを持って食べようとし、こぼしたりコップをテーブルや床の上にひっくり返したり、お母さんが怒りたくなるような動作をするようになります。
母親泣かせのこの行動も赤ちゃんの自我が育ってきた証拠でありますので、1人で食べるという自立のためのトレーニングと割り切って優しく見守るのが大切です。
赤ちゃんにスプーンを持たせて好きなように食べる仕草を練習させ、一方母親が別のスプーンで口へ食べ物を運んであげるのもかまいません。
D硬くてかみ切れない食品(たこ、いか)、塩分の強い物(たらこ、つくだに、つけもの)、あくが強くて硬いもの(たけのこ、ごぼう、レンコン、山菜)、刺激の強い食物(香辛料、コーヒーココア、濃い紅茶や緑茶、アルコール類)、甘みの強いもの( 砂糖、チョコレート、キャンデー)、脂肪の多いもの(ウナギ、穴子、牛肉豚肉の脂身)などは、離乳食に用いる食品としては当初は避けるほうがよいと考えられます。
E1回の食事量の目安
穀類やおかゆを子ども茶碗8分目
野菜類は、和え物を 小さじ 6〜8さじ
タマゴは、全卵1個程度
魚類は、ムニエルを 小さ じ4〜5さじ
肉団子は、小さじ 4〜5さじ
納豆は、小さじ6 〜10さじ
バターまたはサラダ油は、小さじ 1〜2さじ |
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(5) |
離乳完了期食(生後12ヶ月) |
@離乳食を開始して7ヶ月経過し、1日3食をしっかり食べ、離乳食から栄養を摂取するようになると、ミルクや牛乳の量は1日400ml程度に減ってきます。そうすると離乳食はもう完了と考えてよいと思います。
食事時間が朝、昼、晩の3回になり、与える食品も大人の献立から取り分けて利用することができるようになります。
A一番気をつけなければならないのは味付けです。
薄味を心がけるのは以前と同じで、大人の味付けは子どもには濃すぎるので、調味料を加える前に取り分け別の鍋に入れて赤ちゃん用に薄味に作る必要があります。
濃い味付けの大人用の味は、出しやスープで薄めもう一度煮炊きするのがよいでしょう。
Bまた色々な大きさに切った食べ物やかみ応えのある物、薄切りのリンゴのように歯ごたえのある物、ポタージュのように滑らかな食べ物のように、1回の食べ物の中に色々な大きさ、硬さ、舌触りのよい物を組み合わせて与えるのがよいでしょう。
赤ちゃんは舌、あご、頬の筋肉を動かして食べ方のコツを一つずつ学んでいきます。
普通1人で食べ物が食べられるようになるのは1歳半位からで、この時期は1人で食べ物を食べるトレーニングの時期と考えます。
赤ちゃんが食べ物をこぼしたり、飲み物をひっくり返したりするように失敗を繰り返しても、少々のことは目をつぶり、赤ちゃんの好きなようにさせましょう。
遊んでばかりいて一向に食べない時は、お腹が空いていないためかもしれません。
食前にたっぷり遊ばせ、空腹にするのも大切ですが、遊びながら食べていて、1回の食事に30分以上かかる場合は、さっさと片づけてかまいません。
昼と夜の食事の感覚が6時間も空いてしまい、赤ちゃんが待ちきれない場合には1日1回時間を決めおやつを与えてかまいません。
普通は三度の食事をたっぷり食べて満腹であれば、おやつを与える必要はありません。
ご飯を食べないといって、間食をさせては逆効果になります。 |
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7.子育て支援のための国の施策 |
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核家族化、少子化、地域のつながりの希薄化などで育児が孤立化し、負担が 増大し育児不安に悩む家庭が増えていますが、国はこのような家庭を支援するため下図の「地域子育て拠点事業」を立ち上げ、子育て中の親子が気軽に集い相互交流し子育ての不安や悩みを相談できる場を提供し、地域ぐるみで子育てを支援する「地域子育て支援拠点事業」を実施しています。 |
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(2) |
平成21年度、全国で約5200箇所の子育て事業を行っている施設があります。
「地域子育て支援拠点事業の概要」図に示すように「ひろば型」、「センター型」、「児童館型」に分けられています。
実施主体は市町村、社会福祉法人、NPO法人、民間事業者などで、
@子育て親子の交流の場の提供と交流の促進
A子育て等に関する相談・援助の実施
B地域の子育て関連情報の提供
C子育て及び子育て支援に関する講習などの実施
を基本的な事業活動としています。
事業の詳細な内容は、厚生労働省のホームページに紹介されています。
(1) 子ども・子育て支援(厚生労働省)についての情報 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/index.html
(2) 地域子育て支援拠点事業とは(概要) http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/kosodate05/pdf/kosodate_sien.pdf
(3) 子育て支援拠点事業(実施ガイド全体版)についての情報 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/index.html
サイトから入り地域子育て支援拠点事業 実施のご案内(実施ガイド)
全体版(PDF:8,494KB)を選択
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/gaido.pdf
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