山中たつる小児科***小児科一般外来・アレルギー疾患外来・予防接種・乳児健診・育児相談
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Ⅰ 予防接種の際の感染防止について
病気の患者さんとの接触をさけるため、予防接種専用の時間帯をもうけています。予防接種を受ける際には、できるだけ予防接種の診療時間帯に受診ください。
もしこの時間帯に受診できない場合には、一般診療の時間帯の受診でもかまいません。また予防接種で受診される場合には、かならず希望されるワクチンと受診日時を事前にご連絡ください。
事前連絡をせずに突然受診されると、希望するワクチンが院内に用意されてなく取り寄せに時間を要し、当日すぐに予防接種を受けることができない場合があります。

Ⅱ 定期接種ワクチン(無料接種、11種類) Ⅲ 任意接種ワクチン(有料接種、2種類) Ⅳ 予防接種を受ける際の注意事項   Ⅴ 予防接種の副反応と健康被害・救済制度   Ⅵ 予防接種に関する参考資料

予防接種には、予防接種法に基づき市町村が実施する定期接種(無料接種)と同法に基づかない任意接種(有料接種)があります。

令和6年4月から新しく5種混合ワクチンや15価肺炎球菌ワクチン、9価子宮頸がんワクチンなどが、定期接種に使用できるようになりました。

Ⅰ 予防接種の際の感染防止について

予防接種の時間帯は月曜、火曜、水曜、金曜の13:30から14:30に設けています。 しかしこの時間帯がどうしても都合の悪い場合は、一般診療の診療時間帯に受診されてもかまいません。その際は順番まで院内隔離スペースか自家用車内でお待ちいただくことになります。
お子様を診察し37.5度以上の発熱があったり、けいれんを起こして十分な時間がたっていなかったり(2~3ヶ月)、病気治療のために服薬していたり、同居家族に発熱者や病気にかかっている方などがおられる場合には、予防接種を延期しなければいけない場合もありますのでご了承ください。

Ⅱ 定期接種ワクチン(無料接種 11種類)

1 五種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・急性灰白髄炎(ポリオ)・ヒブ)ワクチン

令和6年4月から四種混合ワクチンにヒブワクチンを加えた五種混合ワクチンが使用できるようになりました。

第1期初回免疫(1~3回)は、生後2か月に達した時から生後90か月(生後7.5か月)に至るまでの間に接種できますが、赤ちゃんに早期に病気に対する抵抗力(免疫)をつけるため、接種時期は生後2か月から生後7ヶ月頃までに 3回接種することが勧められています。従って標準的な接種法では、3回接種する初回免疫は20~56日の間隔をあけ体調のよい時に受けてください。

第1期追加免疫(1回)は、初回免疫3回目終了後6ヶ月から18ヶ月の間隔をおいて1回接種します。

なお、すでに四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ)ワクチンとヒブワクチンで別々に予防接種を開始した方は、原則、四種混合とヒブワクチンで接種を完了してください。やむを得ない事情で、五種混合ワクチンによる交互接種を行わなければいけない場合は、保健所への事前連絡が必要になります。

2 二種(ジフテリア・破傷風:DT)混合ワクチン

11歳に達した時から13歳に達するまでの間にDTワクチンを接種します。

3 麻しん・風しん(MR)ワクチン

第一期は,生後12か月から24か月に至るまでの間に接種します。

第二期は、5歳以上7歳未満の児で、小学校就学前に接種します。

4 ヒブ(インフルエンザb型菌:Hib)ワクチン

ヒブワクチンは、標準的には生後2か月から7か月に至るまでの間に接種を開始するようになっていましたが(生後60か月まで接種可能であった)、令和6年4月から4種混合ワクチンにヒブワクチンを加えた5種混合ワクチンが使用されるようになりました。
これまでヒブワクチンを3回接種した方は7か月以上あけて4回目の追加接種を受けてください。その際は5種混合ワクチンではなく、同じヒブワクチンで追加接種を受けてください。

5 小児肺炎球菌ワクチン(15価)

平成12年に米国で7価肺炎球菌ワクチンが開発され、日本では平成25年11月から13価肺炎球菌ワクチンによる定期接種が開始され、更に令和6年4月から15価肺炎球菌ワクチンも定期接種に使用できるようになりました。
今後は15価肺炎球菌ワクチンでの接種が基本になっていきます。すでに13価肺炎球菌ワクチンの接種を受けている場合でも、13価と15価の交互接種が可能であるため、途中から15価肺炎球菌ワクチンに切り替えて接種を完了することも可能です。

予防接種の効果を高めるためには、生後2か月から接種を開始する標準スケジュールで予防接種を行うことが大切です。

(1)  標準接種
スケジュール

(生後2か月~7か月までに開始した場合、合計4回接種可能)

初回免疫:生後2か月から27日以上の間隔を置いて3回接種します。初回免疫は、標準的には生後12か月までに3回目を完了すべきです。

追加追加(4回目)は、初回免疫の3回目を接種後60日以上の間隔をおいて1回接種します。追加接種の標準的な接種期間は生後12か月から15か月に至る期間に行います。

(2) 接種もれ
スケジュール1

初回免疫を生後7か月~12か月未満までに接種した場合には、合計3回まで接種が可能です。

初回免疫:初回接種を生後7か月から12か月未満までの間におこなった場合、初回免疫の1回目から27日以上の間隔をおいて2回目を接種できます。

追加免疫:初回免疫の2回目を終了後、60日以上の間隔をあけ追加免疫の3回目が接種可能です。

(3) 接種もれ
スケジュール2

初回免疫:生後12か月から生後24か月未満までの間に行った場合、初回免疫は1回のみ接種可能で、それから160日以上の間隔をおいて追加接種を1回できます。

(4)  接種もれ
スケジュール3

2歳から5歳未満に初回免疫を行う場合には1回だけ接種が可能です。

6 BCG(結核の予防接種は、各区の保健センターで毎週実施しています)

接種対象年齢は標準的には生後5か月から生後8か月になっており、札幌市では生後5か月時に保護者へBCG接種の日程を案内しています。
しかしこの時期は肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、五種混合ワクチンなどの予防接種を行う時期に重なり、これらワクチンを優先して早く終了する必要があります。そのためBCGワクチン接種の日程を先に延ばすよう日程調整しなければいけなくなる場合があります。変更の場合は居住地の保健センターへ電話連絡して下さい。

7 水痘ワクチン

接種対象年齢は、生後12か月から36か月までですが、標準的には初回を生後12か月から15か月までの間に接種し、1回目接種後3ヶ月の間隔をおいて2回目の接種が可能です。

8 日本脳炎ワクチン

北海道では、平成28年4月1日から日本脳炎ワクチンが定期接種になりました。

(1)  第1期接種

生後6か月から90か月(7歳半)に至るまでの間に3回接種

初回免疫(2回接種) : 3歳に達した時から4歳に達するまでの間に

追加免疫(1回接種): 4歳に達した時から5歳に達するまでの間に

標準的には、第1期初回免疫は3歳になってから開始し、1回目接種後6日以上28日の間隔をおいて2回目を接種します。2回目接種から6か月から12か月をおいて3回目(第1期追加免疫)をおこないます。もしこの期間中に接種ができなかった場合は、7歳半まで接種が可能です。

(2) 第2期接種

9歳から13歳未満までの間に1回接種

(3)  特例接種

平成19年4月1日以前に生まれた20歳未満の方は、4回の日本脳炎ワクチン接種が可能です。すなわち20歳に達するまで(20歳の誕生日の前日まで)に第1期として3回、第2期として1回の合計4回の接種が可能です。ただし接種時点で20歳以上になっている場合は対象外となります。

3年間の新型コロナウイルス流行により日本脳炎ワクチンの定期接種を受けることができなかった方は、特例処置として令和7年5月7日まで定期接種を受けることができますので、ご確認ください

9 B型肝炎(HB)ワクチン

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染は、HBV感染キャリアー妊婦から出産時感染する母子垂直感染や乳児期にHBVキャリアーから感染を受ける水平感染があります。乳児期に感染すると高頻度でHBVキャリアーになりやすく、将来肝硬変や肝がんになることがあります。

乳児期のHBV感染によるキャリアー化を防ぐためには乳児期早期からHBワクチンで予防する必要があり、日本では平成28年10月1日から全ての乳児にHBワクチンを定期接種するようになりました。

(1)  標準的な接種スケジュール

定期接種は平成28年4月以降に生まれた0歳児を対象にし、生後2か月と3か月に0.25mlを2回皮下接種し3回目は生後7~8か月で接種します。

妊婦がHBVに感染している場合、乳児への垂直感染を防止するため、生後12時間以内に抗HBs人免疫グロブリン(以下HBIGと略す)とHBワクチンを接種するB型肝炎母子感染防止事業が昭和60年から開始されました。
さらに平成25年10月から母子感染防止事業が改正され保険適応となり、生後2か月に実施していたHBIG注射を省略するようになりました。

(2) 母子垂直感染防止スケジュール

母子垂直感染防止法は、出生直後(12時間以内が望ましいが遅れた場合はできるだけ早く)にHBIG1mlを2か所に分け筋肉注射し、同時に1回目のHBワクチンを0.25ml皮下注射し、2回目、3回目のHBワクチンを生後2か月、生後6ヶ月に0.25ml皮下注射します。

生後9~12か月頃にHBs抗原とHBs抗体検査を実施、HBs抗原陰性でHBs抗体が10mIU/ml以上の場合には予防が成功したと判断し、ワクチン接種を終了します。

またHBs抗原陰性でHBs抗体10mIU/ml以下の場合には、抗体反応が不十分と判定し、HBワクチンの追加接種を行います。

一方HBs抗原陽性の場合には、分娩時にHBV感染が起きたと判断し、専門医療機関で精査を受ける必要があります。

10 子宮頸がんワクチン

平成26年4月1日に定期接種化されてまもなく、接種後血管迷走神経反射による失神や広範な慢性疼痛、運動障害などを示す被害者が多発したため、平成26年6月14日から国は積極的な接種勧奨を控える処置をとっていました。
しかし令和4年より積極的勧奨接種が再開され、令和5年4月から子宮頸がんの原因になり得るウイルス抗原を9種類含む新しい9価ワクチン(シルガード9)が定期接種に使用可能になりました。

また令和4年4月1日から子宮頸がんワクチンの積極的勧奨接種が再開され、接種奨励を控えていた時期の接種対象者に対してもキャッチアップ接種を3年間実施することとなり、令和6年度いっぱい受けることができます。

標準的な接種期間は小学6年生から高校1年生の女子が対象でありますが、 令和7年3月31日までキャッチアップ接種の対象者も含まれます。

これまで2価(サーバリックス)あるいは4価(ガーダシル)ワクチンを途中まで受けた方でも医師と相談した上で、9価ワクチン(シルガード9)に切り替えて接種を完了することも可能になりました。

(1) 接種対象者

・小学6年生から高校1年生の年齢に相当する女子で、令和6年度は平成20年4月2日から平成25年4月1日までに生まれた方で、キャッチアップ接種の対象者は平成9年4月2日から平成20年4月1日までに生まれた方が対象になります。

(2) 同一のワクチンで接種を完了する場合

①2価ワクチン(サーバリックス)

標準的な接種方法は,1か月の間隔をおいて2回接種後、1回目の接種から6か月の間隔をおいて3回目を接種する。この通りに接種できない場合は,2回目の接種は1回目接種から1か月以上の間隔をおいて接種し、3回目接種は2回目から2.5か月以上あけ、また1回目からは5か月以上おいて接種することができる。

②4価ワクチン(ガーダシル)

標準的な接種方法は、2か月の間隔をおいて2回接種し、その後3回目は1回目から6ヶ月の間隔をおいて接種する。このスケジュールで接種できない場合には、2回目接種は1回目接種から1か月以上の間隔をおいて接種し、3回目接種は2回目接種から3か月以上の間隔をおいて接種することができます。なおこの場合には1年以内に3回の接種を完了することが勧められています。

③ 9価ワクチン(シルガード9)

3回接種と2回接種の二通りの接種法があります。15歳以上で1回目を受ける場合には3回接種となります。15歳未満で1回目を接種する場合には2回接種が基本になっていますが、本人や保護者の希望があれば、3回接種も可能になります。

3回接種スケジュールは、標準的には初回接種後2か月をあけ2回目を接種、1回目接種から6か月の間隔をあけて3回目を接種します。もし時間的余裕がなく標準スケジュール通りに接種できない場合には、初回接種後1か月以上あけて2回目を接種し、さらに3か月以上の間隔をあけて3回目を接種することも可能です。

2回接種スケジュールは、15歳未満で1回目を接種する場合だけ限られます。標準的な接種方法は、1回目接種後6か月の間隔をおいて2回目を接種します。2回目の接種は通常6か月から12か月の間隔をおいて接種することが望ましいのですが、それが無理な場合は2回目の接種は1回目の接種から少なくとも5か月以上の間隔をおいて接種することが勧められています。もし5か月未満で2回目を接種した場合には3回目の接種を行います。

④ 2価・4価ワクチンと9価ワクチンの交互接種の場合

HPVワクチンは、原則同種ワクチンで接種、完了することが原則ですが、2価または4価ワクチンで1回または2回接種した方が、残りを9価ワクチンにより接種をおこなっていく交互接種をおこなった場合でも、安全性と免疫原性はきちんと保たれていることが明らかにされています。
また海外での取り扱いを踏まえ、適切な情報提供に基づき医師と被接種者がよく相談した上であれば、交互接種を実施しても差し支えないとされています。
2価ワクチンと9価ワクチンでは接種間隔が異なっていますが、交互接種を行う場合には、9価ワクチンの接種間隔で行います。
たとえば1回目を2価ワクチン接種した場合、1回目から2ヶ月の間隔をおいて9価ワクチンで2回目を接種し、1回目から6ヶ月の間隔をおいて9価ワクチンで3回目を接種する。もし1回目を2価ワクチンで接種したあと2回目を2ヶ月あけて9価ワクチンを接種できない場合、1回目接種後1ヶ月以上の間隔をあけて2回目の9価ワクチンを接種し3ヶ月以上の間隔をあけて9価ワクチンを3回目として接種するようにしてもかまいません。

11 ロタウイルスワクチン

・ロタウイルスによる胃腸炎を予防するため、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン(以下ロタリックスと表記)と5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン(以下ロタテックと表記)があります。

(1)  接種スケジュール ① ロタリックス(1価)

出生6週 0日後から24週0日までの間に、27日以上の間隔をおいて2回経口接種します

② ロタテック(5価)

出生6週0日から32週0日後までの間に,27日以上の間隔を空けて3回経口接種します。

(2) 注意事項 いずれの場合も,腸重積症のリスクを避けるため1回目接種を出生14週6日までに行うことが強く推奨されています。
腸重積症の既往歴があることが明らかな者、先天性消化管障害を有する者(治療が完了した者は除く)、重症複合免疫不全(SCID)を有する者は接種対象外になっています。

Ⅲ 任意接種ワクチン(有料接種 2種類)

1 インフルエンザワクチン

生後6か月から接種が可能になります。

接種量は、生後6か月から3歳未満までは0.25mlを、2~4週間隔で2回接種します。

3歳から13歳未満までは、0.5mlを1~4週間隔で2回接種します。
13歳以上は0.5mlを1回接種しますが、1~4週間隔で2回接種することも可能です。

2 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)ワクチン

おたふくかぜウイルス感染により耳下腺、顎下腺、舌下腺が腫れる病気です。
時に膵炎、腎炎、髄膜炎、髄膜脳炎、感音性難聴などの合併症を引きおこし、男児は精巣炎、女児は卵巣炎などを引きおこし不妊症になる場合もあります。

おたふくかぜワクチンは1歳以上の小児に0.5ml皮下接種します。日本小児科学会は、1歳時と小学校入学前に2回接種する方法をすすめています。

Ⅳ 予防接種を受ける際の注意事項

予防接種を受ける前の注意事項が定められています。予防接種を受けてはいけない事項(予防接種が出来ない状態)と充分注意をして受ける事項(予防接種要注意)が、各5項目あります。

1  予防接種が出来ない状態 (1)通常37.5℃以上の発熱がある場合
(2)重い急性疾患にかかっていることが明らかな場合
(3)接種を受けようとしたワクチンで、以前アナフィラキシー反応を起こしたことが
   ある場合、同じワクチンの接種は避けるべき
(4)接種を受けようとする人が妊娠している場合は、麻しんワクチンや風しんワクチ
   ン、MRワクチンは受けることが出来ません。
(5)予防接種を行うことが適当でないと医師が判断した場合
予防接種の要注意状態

(1) 心臓血管系疾患(心筋炎・川崎病・心内膜炎・リウマチ熱)、腎臓疾患(急性腎不
   全時・腎疾患の急性期増悪期・プレドニゾロン製剤を2mg/kg/日使用中の場合な
   ど)、肝臓疾患、血液疾患及び発育障害等の基礎疾患を有する場合
(2) 予防接種で2日以内に発熱があった場合や、全身性発疹などのアレルギーを疑わせ
   る症状があった場合
(3) 接種しようとするワクチン液でアレルギーを起こす恐れのある場合
(4) 過去にけいれんの既往があった場合
(5) 過去に免疫不全の診断がされた方や、近親者に先天性免疫不全の方がいる場合

予防接種の際に保護者の方々に守っていただきたい事項

(1) 保護者の同伴
特別な理由がないかぎり保護者は必ず接種場所に同伴して下さい。ただし13歳以上の小児が接種する場合、保護者が予診票に署名し予防接種に同意していることが確認できる場合には、保護者の同伴がなくても接種を受けることが可能です。

(2) 母子手帳持参
これまで接種した予防接種内容を確認し、同時に当日接種する予防接種の内容を記録するため必ず持参下さい。

(3) 副反応の観察
予防接種を受けた後30分間は副反応などの異常が起きることがありますので、必ず医師と連絡が取れるように注意下さい。

(4) 接種当日の運動
接種当日の激しい運動(マラソン、水泳、野球、サッカー、柔道、剣道など)は控えて下さい。

(5) 予防接種後の異常がある場合
接種後、高熱、けいれん、じんましんなどの異常がある場合は、直ちに医師の診察を受けて下さい。

ワクチンの同時接種と接種間隔

(1) ワクチンの同時接種
定期接種するワクチンの種類が多くなったため、数種類のワクチンを同時に接種するようになりました。ワクチン接種では予期しない副反応が起きることがあるので、赤ちゃんの体調を充分観察し無理のない状態で受ける必要があります。
ワクチンを単独で受けたいのか、あるいは数種類のワクチンを同時接種したいのか、保護者の希望を医師へ伝えるのがよいと思います。

(2) ワクチンの接種間隔
※2020年(令和2年)10月1日からワクチンの接種間隔が改正されました。

① 不活化ワクチン接種後(DPT-IPV、DT、日本脳炎、インフルエンザ、ヒブ、肺炎球菌、子宮頸ガン、B型肝炎)に異なる不活化ワクチン、経口接種生ワクチン(ロタワクチン)や注射の生ワクチン(MR、BCG、麻しん、風しん、水痘、おたふくかぜ)を行う場合に接種間隔の制限はなくなりました。
ただし同じ不活化ワクチンを何回か続けて接種する場合は、従来通り27日以上の間隔をあけます。

② ロタウイルスワクチン(1価、5価)接種後は、これまで4週間の間隔をあけて他のワクチンを接種してきましたが、今後は4週間の間隔制限は撤廃し、医師の判断で不活化ワクチン、注射の生ワクチンが接種できるようになります。
ただし2回目、3回目のロタワクチンを接種する場合は、これまで通り4週間の間隔をあけます。

③ これまで注射で接種する生ワクチン接種後にワクチン接種を行う場合は全て4週間の間隔をあけてきましたが、今後は不活化ワクチンやロタワクチンを接種する場合には4週間の接種間隔をあける必要はなくなり、医師の判断で適時接種可能になります。
ただし注射で接種する生ワクチンを続けて接種する場合は、これまで通り27日間(28日目以降)あける必要があります。

(3) 病気に罹ったあと予防接種が可能になるまでの間隔
札幌市の場合、保健センターでBCGを接種する場合の目安は、麻しんは治癒後4週間(28日目以降)、風しん、水痘、おたふく風邪は罹患後4週間(28日目以降)、突発性発疹、手足口病の場合は罹患後2週間を経過した(14日目以降)方を対象に接種を行っています。

熱性けいれんを含めたけいれんの場合、最終発作から2か月以上の間隔をあけることが原則になっています。

川崎病などで血液製剤(ガンマーグロブリン)の大量点滴療法を受けた場合には、6か月以上の間隔をあけて生ワクチンを受けて下さい。

不活化ワクチンの場合は、かかった病気が回復していれば接種が可能です。

(4)定期接種の特例処置
定期接種の対象年齢期間中に下記①~④など免疫に異常をきたす病気にかかって予防接種ができなくなったものの、治療で病気がよくなり予防接種不適当要因がなくなったと診断されて2年以内に予防接種を受けた場合は、定期の予防接種として認められます。

ジフテリア、破傷風、百日咳およびポリオ、インフルエンザ桿菌に対する予防接種に五種混合ワクチンを使用する場合は15歳に達するまでの間、結核の予防接種は4歳に達するまでの間、ヒブの予防接種は10歳に達するまでの間、小児肺炎球菌ワクチンの予防接種は6歳に達するまでの間は定期の予防接種として認められます。

① 重症複合免疫不全症、無ガンマグロブリン血症、その他免疫機能に支障を生じさせる重篤な病気にかかっている場合

② 白血病、再生不良性貧血、重症筋無力症、若年性関節リュウマチ、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、ネフローゼ症候群、その他免疫の機能を抑制する治療を必要とする病気にかかっている場合

③ 臓器移植のあと免疫機能剤の治療を受けている場合

④ 予診で、医師が医学的知見に基づき免疫機能障害や免疫抑制の可能性があると考え、予防接種の実施が不適切と判断した場合など

Ⅴ 予防接種の副反応と健康被害、その救済制度

(1) 予防接種の健康被害
予防接種後、一定期間のあいだに色々な身体的反応や疾病が見られることがあります。予防接種後に異常反応を疑う症状が見られた場合、これを健康被害と呼びます。

(2) 健康被害と紛れ込み事故
健康被害の要因として予防接種そのものによる副反応の他に、偶発的に発症したり、 発見される病気が混入する場合があり、これを紛れ込み事故と呼んでいます。
原因を明らかにすることが困難な場合がよくあります。

(3) 接種前の十分な予診と診察の必要性
副反応を起こさないようにするため、接種前にかかった病気の有無や治癒したか否か、健康状態をチェックするための予診(接種前の体温測定や予診票の記載)と接種前に必ず医師の診察を行い、健康状態の確認が大切です。

たとえ十分な予診を行っていても予防接種による重篤な副反応や後遺障害を事前に予知し防ぐことができない場合があるため、国の予防接種ガイドライン2024年度版を参考に予防接種による副反応や健康被害対策についての知識を確認してください。

  

(4) 健康被害の補償制度
予防接種法に基づく予防接種を受けて健康被害を受け治療を要したり、あるいは後遺障害を残した場合、被害者はこの被害の認定と医療費、手当及び年金の請求を行うことが出来ます。

健康被害が受けた予防接種との因果関係があると厚生労働大臣が認めた場合には、予防接種法及び同法施行令などに基づいて健康被害に対する給付が行われます。

請求には疾病の発病年月日、及びその症状を証明する医師の作成した書面又は診療記録の写し等を札幌市へ提出し、この関係書類に基づき札幌市予防接種健康被害調査委員会において予防接種との因果関係を検討します。

任意接種のワクチンにより健康被害が生じた場合には、独立行政法人医薬品医療器機総合機構法に基づいて、健康被害を受けた方又は家族が下記の救済制度相談窓口へ直接請求を行います。

  

請求先 医薬品医療器機総合機構 救済制度相談窓口 
  フリーダイヤル 0120-149-931
     〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞ヶ関ビル10階

Ⅵ 予防接種に関する参考資料

(1) 予防接種と子どもの健康 2024年度版 価格140円(税込み)

(2) 予防接種ガイドライン2024年度版 価格280円(税込み)

(3) 公益財団法人予防接種リサーチセンター
  www.yoboseshu-rc.com/



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